既にお話ししたとおり,本コーナーでは
1,親族
2,親族以外の会社内スタッフ(取締役や従業員)
を後継者候補とした場合の,事業承継に際しての注意点をご説明していきます。
いずれの場合にも共通する注意点は二つです。
一つは「会社の支配権(=株式)を経営者がきっちり束ねること」です。
会社法の教科書などを見ると「株式会社では,会社の大枠の方針を株主の多数決で決めさせることで,意思決定に慎重さを云々・・・」「株主のチェックを挟むことで経営者の暴走を防ぎ云々・・・」等とお約束のように書かれているのですが,フットワークの軽さ・リーダーシップを生かすべき中小企業にとって,このような慎重さは足かせになる事の方が多いです。乱暴な言い方をしますと,中小企業が民主主義を採用していたら,大企業に勝てる要素なんて一つも無くなってしまいます。
そういうわけですので,「株式は代表者が握る(最低でも3分の2)」ということが重要になってくるのです。
もう一つは「会社内部や取引先が動揺しないように配慮して権限を委譲していくこと」です。
ある日突然,社長が会社の経営や現場に全く関わっていない息子を連れてきて「来月からこいつが社長になるからよろしく。これは代表者命令だから。」等と言っても,従業員(特に古参の幹部)が納得するわけがありませんし、取引先にも動揺が走るのは目に見えています(上の「1、親族」の場合ですね)。
ここまで極端な話は少ないにしても,配慮のないバトンタッチにより従業員の反発を買ってしまい,幹部を中心に有能な従業員が大量に社外へ流出,という悲劇はしばしば耳にするのではないでしょうか。
以下では,後継者の属性ごとに分けて事業承継の注意点を述べていきますが,以上の二点さえ外さなければ,自然と承継計画は固まっていきます。