(前回「持ち家,他人に貸す時は要注意!1」の続きです。)
アパート経営のように,「その物件に自分で住むつもりはない」のであればまだあきらめがつくのですが,「(転勤から戻ってきたとき等に)将来,いつか自分がその家に住みたい」といった場合ですと,大変不都合です。
自分の家なのに,自分が住めなくなってしまい,ほとんど借主に家を乗っ取られたような格好になってしまうわけです。
もちろん,「家主である自分の方が、その家に住む必要性が高い」といった,「家主側に有利な事情」を少しでもたくさん立証し、賃貸期間の節目で契約終了を主張する,ということは可能です。
ただ,そのハードルは極めて高いものです。
例えば,(以下はあくまで判断要素の一部に過ぎませんが)
「借主が,他に自己所有の家を持っていて、そちらに住もうと思えば住める。」
「家主は,借主に貸している対象物件しか持っていない。」
「対象物件は大人数で住める大きさなのに,借主は一人で住むという無駄の多い使い方をしている。他方,家主は大家族で,その物件に住む必要性が高い。」
「賃料が相場よりかなり安めに設定されている。」
「これまで借主が住んだ期間がそれほど長くない。」
これらの要素を全部満たすことに加えて,相当額の立ち退き料を積んで,ようやく退去要求が認められるかな,という感じです。
「これらの要素の一つか二つしか満たしていない」という場合は,高額の立ち退き料を積んでも,そう簡単に退去要求は通らないでしょう。
もちろん,借主が退去に同意してくれれば万事オッケーなのですが・・・上記の要素があまり揃っていない場合,法的には退去要求が通りにくいことを借主側もわかっていますので、足下を見て凄まじい立ち退き料を要求されることも多いです。(それまで受け取った家賃合計を上回る立ち退き料を請求されることも珍しくありません。何のために賃貸したのやら・・・)
以上のように,あまり深く考えずに自分の持ち家を他人へ貸してしまうと,いざ自分が住もうと思ったときに出て行ってもらえない,ということになってしまうわけです。
ただ,「最低3年は県外に転勤で戻ってこない。その間,自宅をずっと空き家にするのももったいない。」「近所に家を管理してくれる人もいないし,空き家にしておくのは不用心だ。」という事情もあるでしょう。
次回は,そういった事情がおありのオーナー様向けの制度をご紹介します。