今回は,賃貸アパートを経営する家主様向けのお話になります。
「純粋にペットが好き」「物件が老朽化してなかなか部屋が埋まらない」etc...家主様側の思惑は様々あれど,最近「ペット可」の賃貸物件が増えてきました。
ペット飼育を許可すること自体は,あまり手間をかけずに他の賃貸物件との差別化を図る一手段になり得ますので,空き室を埋めるための経営戦略としてはありだと思うのですが・・・最近,ペット飼育を許可することのデメリットを軽く考えたせいで大ダメージを受ける家主様を見かけるようになりましたので,ここらで記事化しようと考えた次第です。
注意点と対策を,箇条書きにしてお伝えしますと,だいたい以下のようになります。
1,敷金・保証人は固めにとる。
これは容易に想像できるかと思いますが,ペット飼育を許可すると,部屋の損傷がすさまじいことになります。
ほんの2年ほど貸しただけで,壁紙・床がボロボロにされるということは何ら珍しいことではありません。動物独特の臭いが染みつくこともあって,原状回復費用が,それまでもらった家賃の同額程度に達するケースもあります。
この原状回復費用を全額ちゃんと賃借人に払ってもらえればいいのですが,「お金がないので払えません」などと言われてしまうと,家主側の損害は甚大です。それまでもらった家賃のほとんどを吐き出すはめになれば,もうなんのために賃貸経営をしているのか分からなくなります。
敷金は通常よりも高額に設定し,連帯保証人もある程度手堅い会社の正社員or公務員を要求するなどして,少しでも原状回復費用の回収率を高めるべきです。
なお,最近かなり浸透してきた家賃保証会社ですが,原状回復費用は費用の総額が予測しづらいこともあって,「そもそも原状回復費用は保証していない」「保証するとしても家賃の2か月分まで」「特約が必要」等,何らかの制限がかかっていることが通常です。「家賃保証会社をつけているから,ペットによる損傷も全部家賃保証会社が出してくれるだろう」とたかをくくっていると足元をすくわれることもありますので,家賃保証契約の保証対象については,きちんと契約条項を確認しましょう。
(続きます)