弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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ネット通販における法務チェックの重要性

 地方の小売業者が自前の通販サイト(ECサイト)を構えるのは,現在ではもはや当たり前になっています。特に,「地元の市場が小さく」「地元独自の生産物・名産品を擁している」宮崎県の中小企業にとって,全国へ販売網を展開できるネット通販は極めて重要な販路といえます。
 しかし,実際に通販サイトを構えるとなると,サイトのレイアウトや商品掲示・受注管理の仕様ばかりに目が行ってしまい,利用規約やプライバシーポリシー,特定商取引法所定の記載事項にまでは手が回らない企業様がほとんどではないでしょうか。

 もちろん,販売を伸ばすためには,サイトのレイアウトや受注管理の使い勝手等が重要なのは言うまでもありません。
 ですが,不特定多数の消費者を相手に販売を展開することを考えますと,ユーザーとのトラブルを回避するための法務チェック・工夫も不可欠になってきます。
 加えて,消費者向けのネット通販では「消費者契約法」「個人情報保護法」「特定商取引法」等,様々な法律の規制もあり,この点でも弁護士による法務チェックが不可欠です。

 大手以外の通販サイトでは,これらの法務チェックが不十分なケースが多数見受けられます。
 今後,ネット通販への依存度が上昇していくことを考えますと,ネット通販への法務チェックを早い段階で入れた方が安心です。(自社のネット通販のシェアが大きくなったところで「利用規約の大幅改定」となると,炎上騒ぎに繋がりかねません。)

 以下,「利用規約」「プライバシーポリシー」「特定商取引法所定の記載事項」に分けて問題点・注意点をご説明します。併せて,これらの整備に必要な弁護士費用についても記載しております。

利用規約の重要性

 利用規約と聞いて,皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
 「フリーソフトをインストールするときとか,ネットショッピングの会員登録をするときに出てくるアレね。」「アレって読まないで『次に進む』『同意する』をクリックしちゃうよね。」という感じではないでしょうか。
 利用規約がどんな内容であれ,「同意する」をクリックしないと先に進めません。また,規約の記載内容も膨大なためいちいち読んでいられないということもあって,ユーザー側にとっては,利用規約の内容をそれほど意識することはないかと思います。

 ですが,ネット通販を展開する業者側にとっては,利用規約の持つ意味は全く違ってきます。
 利用規約は,それ自体が「業者と利用者が締結する契約書」なのです。そのため,不用意な規定が利用規約に含まれていると,利用者とのトラブルが発生したときに致命的なダメージを受けることもあり得ます。(特に「注文キャンセル・返品の取扱」「損害賠償額の制限」や「裁判管轄」等は重要です)
 EC構築業者が提供してくれた利用規約のひな形を,内容も確認せずにそのまま使い回しているサイトをしばしば見かけますが,これは「業者側がイメージする販売方法」と「利用規約の内容」に食い違いが生じる原因となりますので絶対にやめましょう。(分かりやすい例として,購入ページでは「返品不可」と表示されているのに,利用規約上は「3日以内なら返品可能」となっているサイトが実際にありました。この場合,利用者に返品を要求されたら反論できません。)
 ネット通販を長期的・安定的に展開するためには,契約書と同じように
利用規約についても弁護士のチェック・添削を受けることが不可欠といえるでしょう。

 もっとも,純粋に弁護士としての視点だけで利用規約を構築すると,「法的には有利になるけれど,ユーザーの反発を買ってしまう(下手をすると外部のブログなどを通じて炎上してしまう)」利用規約ができあがってしまいかねません。
 この点,谷田は中小企業診断士としての視点も生かし,ネット通販業者様から「対象商品の特徴」「顧客層」等を丁寧にヒアリングした上で,利用規約の作成や添削を行います。これにより,「ネット通販業者側の法的な弱点を解消しつつ,ユーザーの理解も得られる」利用規約をご提供できるわけです。

プライバシーポリシーの整備

 利用規約以上に「どこかで見つけてきたひな形をそのまま貼り付ける」傾向が強いのが,このプライバシーポリシーです。
 ですが,プライバシーポリシーに関しては,個人情報保護法という明確な規制がある以上,こちらも弁護士のチェックは不可欠です。
 特に,通販サイト運営者は通販サイトへの来訪者・購買者の個人情報を収集することが多いかと思いますが,この収集した個人情報を本人の同意無く第三者へ渡してしまうと違法になってしまいます。
 「別に,お客様の個人情報を売ったりはしないよ?名簿屋じゃあるまいし・・・」と思われるかも知れませんが,意識しないうちに外部の第三者へ個人情報を提供するというケースはあり得るのです。そのため,個人情報の収集方法・その管理体制を含めて専門家のチェックを入れることが重要になってきます。

 また,マーケティング活動のため,ウェブサイトにトラッキングコードを埋め込んでアクセス解析(例:Googleアナリティクス)をすることも一般的になりつつあります。こういったアクセス解析サービスでは,サービス提供者の利用規約で「プライバシーポリシーにその旨を明記するように」と定められているのですが,この規定をきちんと守っているサイトは多くありません。
 これは個人情報保護法の問題ではありませんが,サービスの適切な利用・契約違反の防止という点ではプライバシーポリシー等の改定によって対応したいところです。

特定商取引法所定の記載事項

 通信販売をするにあたっては「特定商取引法で定められた事項を表示しないといけない」とされています。このこと自体は,ネット通販を展開しようとする事業者の間で浸透しているようです。
 実際に,どこの通販サイトを見ても,トップページの下方にそれっぽいリンクが貼られているのを目にするかと思います。(「特定商取引の表記」「特定商取引法に基づく表記」「特定商取引に関する法律に基づく表示」などですね)

 ですが,特定商取引法(と,特定商取引法施行規則)が,具体的にどういう事項の表示を求めているのかを正確に理解しているサイトは意外と少ないように見受けられます。
 色々なサイトの「特定商取引法に基づく表記」を見ていると,「法律で要求されている事項が抜けているなあ」とか,逆に「これは載せなくていいのになあ」という記載にしばしば出会います。

 法律というものは,ただでさえ取っつきにくいものですが,その中でも「特定商取引法」の条文の読みづらさは群を抜いています。(関心のある方は検索してざっと読んでみて下さい。)そのため,特定商取引法が要求する記載事項を,各ネット通販事業者ごとに正確に分析するには,特定商取引法に通じた専門家の助力が不可欠です。
「利用規約」「プライバシーポリシー」だけでなく,「特定商取引法に基づく表示」も,弁護士によるリーガルチェックを入れておきましょう。

利用規約等の作成orチェックのための弁護士費用

 以上のように,「利用規約」「プライバシーポリシー」「特定商取引法に基づく表示」は,ネット通販を展開するに際しとても重要な要素です。
 これらの作成・チェックについては,契約書の作成・チェックに準じた弁護士費用を設定させて頂いております。
http://www.tanida-lawyer.jp/price-list.php#ID76

 なお,上記各文書がA4何枚分に当たるのかについてですが,標準的な内容であれば概ね以下のようになります。(特殊なビジネスモデルの場合,別途お見積もりをさせて頂くことがあります。)
・利用規約:8枚分
・プライバシーポリシー:4枚分
・特定商取引法に基づく表示:2枚分

 顧問契約を締結して頂いている事業者様に適用される割引も,契約書の場合と同様です。