弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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働き方改革8~時間外労働の規制~

2019年05月06日

(前回「働き方改革7~時間外労働の規制~」の続きです。)

2,三六協定に書かれている残業時間を超えて働かせると違法
 むしろ,1よりもこちらの方が多いですね。三六協定に書かれた残業時間を超えて働かせると,これまた違法になります。

 特に,これまでは,三六協定に多めの残業時間を書いて労基署に提出しようとすると「この三六協定に書かれている残業時間は,厚生労働省が定めた基準を超えているから受け付けられません。」「受け付けて欲しかったら,厚生労働省の基準以内の残業時間に書き直して下さい」と突っぱねられることが多かったのです。
 そこで,会社側はやむなく厚生労働省の基準に収まった(守れる見込もない)残業時間を書いて提出していたという実態があります
 そもそも,厚生労働省の定めた限度基準に法的拘束力は無いので,労基署が三六協定の受領を拒むこと自体どうかという気もするのですが・・・。

 これまで,労基署がこういった実態に合わない指導をしていたせいで,「三六協定は守れっこない。ただの努力目標」という意識が中小企業に広がってしまったように思います。
 後に説明しますように,厚生労働省の限度基準はもう問題にならなくなりますが,三六協定に書いた残業時間を超えたら違法」これは今後も変わらないことですので,徹底しましょう。

3,手当等で残業時間管理を免除されることはほぼ無い
 これは,どちらかというと「時間外労働の規制」というよりは「残業代」の問題なのですが・・・。

 よくあるのが「営業手当」「管理職手当」名目で基本給に数万上乗せをして済ませるケースです。
 「残業代はこの手当に含まれています。」「営業職は自由裁量で働いているから,これでいいよね。」「管理職だから残業代はなしね」という手法はあちこちで見かけます。
 もちろん,労働時間の管理なんて全くしていないわけです。

 こういう大ざっぱな残業管理はもうやめましょう。
「手当に残業代が全部込みだから,それ以上はいくら残業しても払わない」なんてやり方は,営業職はもちろん,管理職であっても通りません。
 一応労働基準法上は「管理監督者」という制度があり,「管理監督者」に該当すれば残業代は払わなくてもいいのですが・・ほとんど取締役に近い待遇をしないとまず認められません正直,宮崎の中小企業にとって,管理監督者として認められるほどの待遇を用意するのはしんどいです。

 特に,今回の法改正で「労働時間の管理・把握」については厳しく要求されるようになります
 「残業時間・残業代の計算がめんどくさいから」と,手当支給でお茶を濁すことのないよう,意識して労働時間の管理をしましょう。



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