(前回「そのマイカー通勤,大丈夫?2」の続きです)
3,マイカー通勤を会社がサポートしていたかどうか
マイカー通勤をする従業員に,通勤手当や会社駐車場を提供していない場合は,会社の使用者責任が否定されやすくなります。
使用者責任を回避するために,これらをわざわざ無くすのはさすがにナンセンスですが・・・これらマイカー通勤への支援の有無が,使用者責任の判断に影響するんだな,ということは押さえておきましょう。
少なくとも,何の対応策もなしに,漫然と会社駐車場を使わせてあげるのは避けたいところです。
4,マイカー通勤についての会社内規があるかどうか
マイカー通勤についてきちんと内規を整備していて,その内規が実際に徹底されていたかどうかも,会社の使用者責任を判断するうえで重視される傾向にあります。マイカー通勤を許可制とする規程を設け,マイカー通勤を希望する全従業員に許可申請をさせるようにした方が好ましいといえるでしょう。
ここまでやっておけば,万が一会社に無断でマイカー通勤をして,事故を起こした従業員がいたとしても,会社が使用者責任を問われにくくなります。
従業員が,会社の規制を無視して勝手にやったこと」として扱われるわけですね。
マイカー通勤中の交通事故について,会社が使用者責任を問われるかどうかの判断要素は,他に様々なものがあるでしょう。
ですが,特に重視されるのは,前回以来ご紹介した4点になるかと思われます。
そのため,
「従業員のマイカーで,業務上の配達とか営業をさせてしまっている」
「マイカーを使用しないととても通勤できないような場所に会社がある」
「会社の敷地に,マイカーの駐車を自由にさせてやっている」
「マイカー通勤について,特に内規を設けていない(or設けているが,全然守られていない)」
こういった事情が一つでもある会社は,従業員のマイカー通勤から生じるリスクについて,きっちり手当てをしておく必要があります。
次回は,従業員のマイカー通勤に対する会社の対応策について,書式も含めて解説し,このシリーズの仕上げとします。