弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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マイナンバー制度14~Q&Aをいくつか~

2015年11月04日

 ブログの更新がすっかり滞っており申し訳ありません。
 10月は,マイナンバー関連のセミナーの講師として事業者団体様から招かれることが多くありました。
 そのセミナーの中で,事業者の方から特に多く寄せられたご質問や疑問点をここでご紹介し,一連のマイナンバー制度解説の締めとさせて頂きます。

Q. 住民票写しの発行にあたって,マイナンバー関係のトラブルが頻発していると聞いた。どういうことに注意したらいいだろうか?

A. これまでの連載をお読み頂ければ分りますように,マイナンバーは法律で決められている場面以外では「教えない」「尋ねない」「持たない」のが鉄則です。
 「通知カード」を紛失していない限り,住民票にマイナンバーを載せる意味はありませんので,「住民票にマイナンバーは載せない!」と決めてかかっていいでしょう。住民票写しの発行申請書にはマイナンバーを載せるかどうか選択する欄がありますので,その選択欄にどうチェックするかは注意しましょう。
 また,仮に発行申請書に「マイナンバーの記載は希望しない」とチェックしたとしても,システムの不具合・人的ミス等により,住民票にマイナンバーが記載されている可能性があります。住民票写しを役所受付で受け取った時は,誤ってマイナンバーが記載されていないかどうかをチェックしましょう。(報道でご存じの方も多いかと思いますが,この手のミスはすでに他県で発生しています。)

Q. 結局,「個人番号カード」の発行は受けた方がいいの?

A. 全国民に簡易書留で送られてくる「通知カード」と異なり,取得が各人の自由に委ねられている「個人番号カード」は,そもそも発行を受けるかどうか判断がつきかねる,というお声を耳にします。
 従来の住基カードが,今後個人番号カードにとって代わられることを考えますと,個人的には発行を受けておいた方がいいのかなと思います。(現在お手持ちの住基カードは今後なくなっていきます。「代わりに個人番号カードを使ってね」ということのようです)

 とはいえ,個人番号カードは「顔写真とマイナンバー両方が載っている唯一の証明書」ですので,取り扱いには慎重を期したいところです。単純な本人確認だけなら顔写真がついている運転免許証で十分なわけですから,わざわざ個人番号カードを見せる必要はないでしょう。
「マイナンバーを確認する必要のある場面以外では,個人番号カードを人に見せない・見せてもらわない」と割り切った対応をしてもいいかと思います。
(「マイナンバーが記載されているのは個人番号カードの裏側。なので,表面だけを見せてもらえば違法にはならない。」という紹介がしばしばされており,当HPの過去の記事でもそのニュアンスで書いていましたが,必要もないのにわざわざマイナンバーに触れることはありませんね。)

 この点,総務省のHPでは「金融機関の口座開設・フィットネスクラブの入会など,様々な場面で活用可能」と紹介されていますが,さすがにこれは鵜呑みにしてはまずいでしょう。

 マイナンバー制度は,見切り発車で始まった制度の感が正直否めず,今後様々な課題や問題点が出てくるかと思いますが,当事務所の記事が少しでも中小企業の皆さんのコンプライアンスに貢献できれば幸いです。
 今後ともよろしくお願いいたします。