弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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リース契約にご用心!3

2017年09月11日

(前回「リース契約にご用心!2」の続きです。)

 普通に考えれば,「そんな非効率的な資金調達をしても,販売店はすぐにつぶれちゃうでしょ?回るわけがない。」「怪しい・・・。」と気づきそうなものなのですが,販売店は結構もっともらしい説明をして,うまく騙してきます
 コピー複合機の場合ですと,「コピー複合機は,複合機自体の売上より,毎月の保守料とかカウンター料金で稼ぐものなんですよ。だから,コピー機の代金はもらえなくても,うちはちゃんと回るんです。大丈夫。」と言ってきたり・・・。異業種の収益モデルは今ひとつピンとこないこともあって,「そうなのかな?」と信じてしまうことも多いようです。

 そして,こういう無茶苦茶な資金調達に走る販売店は,早晩つぶれます。(持つわけがないですね)
 そうなると,リース会社はリース契約者の方に「あなた名義のリース契約なので,残りのリース料は全額あなたが払って下さい。」と言ってくるわけです。

 ここからが致命的なのですが,契約者がリース会社に「リース料は販売店が全額払ってくれるって言っていたよ?」とか,「リース物件は実際に納品されていないから,リース料なんて払わない。」という反論をしても,リース会社には一切通用しないということです

 一応,販売店の悪質さにリース会社が気づいていたケース等では,契約者が救済されることもありますが,基本的に契約者が残リース料全額を払わされると思った方がいいでしょう。

 当然,名義を使われた契約者は怒って販売店に損害賠償請求をしたくなるところですが,さっきお話ししたようにその時点では既に販売店は夜逃げしたり,お金を全然持っていないのが普通です。
 そのため,名義を貸した契約者は泣き寝入りということになります。

3,リース契約の怖さ・まとめ
 よくあるリーストラブル2類型を引き合いに出して説明しましたが,ひとまずは以下のポイントを押さえておきましょう。

・リース契約は途中解約できない。契約名義人が,リース料全額を払わされるのが原則。
・販売店がセールストークで色々無責任なことを言ってくるが,そのセールストークはリース会社への反論には使えない。
・「リース物件を納入してもらって,契約書通りのリース料を契約者が支払う」のが本来のリース契約。それ以外のいびつなもの(リース料を販売店が払ってくれる,リース物件は実際に納入しない,等)は全部詐欺。

 中小企業であれば,業種問わず巻き込まれる可能性があるのが,リース契約のトラブルです。
 リース契約自体,理論的にはとても難しいテーマなのですが,ひとまず今回の一連のコラムの内容だけでも押さえておけば,被害に遭うおそれはグンと減るでしょう。