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中小企業の労務管理 ~固定残業手当2~

2017年01月16日

(前回「中小企業の労務管理 ~固定残業手当1~」の続きです。)
 
 では,固定残業手当を導入するにあたって,どういうことに気をつければいいのでしょうか。ざっと指摘すると,以下のようになります。

1,基本給と固定残業手当の内訳をはっきりさせる
 雇用契約書に基本給だけ記載して,「相場より結構高い給与額だし,この中に残業代も含まれているということで従業員も納得してくれるだろう」と安心しているケースをたまに見かけます(あまり多くありませんが)。
 しかし,これでは基本給のうち何円が残業代なのかはっきりせず,固定残業手当制度を導入したことにはなりません。単に基本給を高く設定しただけ,という結果に終わります
 「基本給:??万円」「固定残業手当:?万円」という感じで、誰が見ても内訳が分かる記載をするよう心がけましょう。

2,固定残業手当であることを明記する。
 基本給と手当が分けて明記されているものの,その手当が固定残業手当なのかはっきりしない就業規則・雇用契約書はしばしば見受けられます。
 「わざわざ基本給とは別に,営業手当を設定している。残業代はこの営業手当に含まれているということで大丈夫だろう。」と安心しているケースを見かけますが,これだけでは固定残業手当制度として通用しません。(固定残業手当でしくじって裁判で負けているのは,たいていこのケースです。)

 まず,「業務手当」とか「営業手当」などといった紛らわしい名称は使わず,「固定残業手当」と明記するようにしましょう。そして,更に就業規則と雇用契約書に,
同手当は時間外労働の対価として支給する。
「なお,労基法所定の計算方法による割増賃金が同手当の金額を超えた場合,超過分を別途支給する。
と明記するようにしましょう。
 これらを記載して初めて,固定残業手当は残業代に充てられるようになります。

3,固定残業手当を超える残業代が発生したら,超過分をきっちり支払う
 就業規則や雇用契約書に,2にあるような記載をするだけではまだ十分ではありません。このような記載を入れたからには,その内容をきっちり守らないといけません。
 固定残業手当を上回る残業代が発生しているのに,超過分を別途支給していないとなると,固定残業手当制度を導入したとは認めてもらえず,結局「基本給+固定残業手当」をベースに計算した割増賃金を請求される,という悲劇が起こります。
 固定残業手当を導入するからには,「実際の残業代が,固定残業手当を超えていないか」のモニタリングは不可欠です。

(続きます)