弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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働き方改革11~法改正後の三六協定について~

2019年06月17日

(前回「働き方改革10~法改正後の三六協定について~」の続きです。)

3,「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」について(特別条項)
 先にお話ししましたとおり,年間12ヶ月のうち6ヶ月に限り,45時間超の残業が可能です。
 とはいえ,この45時間超の残業も無制約に許されるわけではありません。「事前に予期できない事情」がないといけないのです。
 そして,この「事前に予期できない事情」は,三六協定の特別条項に記載する必要があります

 「事前に予期できない事情」は文字通りの意味であり,例えば「決算直前の繁忙」などはこれに当たりません。(決算時期は事前に分かっていることですので。)
 クレーム対応や機械トラブルへの対応など,「事前に予期できない事情」「突発的な事情」でないといけません。
 この辺は,各社の業務を振り返ってみて「そういえば,うちはこういう事情で予想外の残業をさせることがあったなあ」という事情を書けば良いでしょう。

4,特別条項における「各期間ごとの残業時間」について
これはもうシンプルです。
「1日:15時間(書かなくてもよし)」
「1ヶ月:99時間」(「限度時間を超えて労働させることができる回数」は「6回」)
「1年:720時間」

これで決まりです。
 ここも,「会社のイメージ云々」「労基署の目が・・・」というのは横に置いて,法律上許容されている時間数をきっちり書きましょう
 先ほど,「1ヶ月の残業時間は,80時間以内を死守しましょう」と書きましたが,特別条項では「1ヶ月:99時間」としておきましょう
その上で,80時間以内を厳守すれば良いわけです。)

5,特別条項における「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」について
 これも,顧問先様からしばしばお受けする質問です。
 「例外的に月間45時間を超えて労働させる場合,労働者へどういった配慮をするのか」を,特別条項に付記しないといけなくなりました
 特別条項の書式の裏面には,この配慮の例として①労働者が医師へ面談できるようにする,②深夜業の回数を一定以下に抑える・・・といった感じで,合計10種類の事由が記載されています。
 この中から,一つor複数を選び,具体的な内容も記載しないといけません。

 これら10種類の事由からどう選べば良いのか質問を受けることが多いのですが,これは「その会社がきちんと守れるものを一つ」に絞って選びましょう
 これらの事由のどれを記載するかは自由ですが,いったん特別条項に記載してしまうと,当然ながら守る義務が生じてしまうからです。

 もちろん,たくさん労働させてしまった労働者への配慮は色々行うべきです。
 ですが,守れない事由をたくさん書き並べても仕方ありません。特にこれらの事由の中には,宮崎県の中小企業には実現がキツいものもありますので(特に①とか④),自社で実現可能かどうかは吟味して書きましょう。
 「一体どれを書いたら良いのか分からない」のであれば,ひとまず「⑦心とからだの健康問題についての健康窓口の設置」から検討してみてはいかがでしょうか

 新しい三六協定書式への対応は以上のようなものです。
 次回は,労働時間の上限規制から派生する諸問題について数点触れます。どの中小企業にとっても無縁ではない問題がいくつかありますので,是非お付き合い下さい。

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