弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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働き方改革10~法改正後の三六協定について~

2019年06月03日

(前回「働き方改革9~時間外労働・法改正後の規制~」の続きです。)

<三六協定記載時の注意点>
 今回の時間外労働規制に伴って,三六協定のひな形も変わりました。
これまでA4横一枚だったのが二枚組になり,特別条項(=例外的に月45時間超の残業をさせる場合)を書きやすくなっています。

 さて,三六協定の書き方ですが,法改正の影響もあって,これまで以上に記載内容に気を遣う必要があります。
 記載に当たって特に注意して頂きたい点としては,以下のようなものです。

1,「延長することが出来る時間数」のうち,「1日」は「15時間」と記載する。
 顧問先様などにこのように提言すると,ほぼ確実に
「ええっ!なんてブラックな!」
「法定労働時間8時間で,休憩時間1時間,それに15時間を足したら24時間労働になるじゃないか!」
という反応が返ってきます。

 ですが,よく考えてみて下さい。
 年間を通じて,「うちは従業員に一切徹夜作業なんてさせない。」「これまでさせたことはないし,今後も絶対させない。」と言いきれるでしょうか。
 例えば決算期のように,どうしても徹夜作業をさせないと追いつかない,抜き差しならない状況というものは存在します
 そのような事態に陥ったとき,三六協定で1日あたりの残業時間を15時間と設定しておかないと,違法になってしまいます

 特に,今回の法改正で導入された残業規制は専ら「月間の合計残業時間」「年間の合計残業時間」だけです。1日あたりの残業時間については一切規制はありません。(法律も「どうしても徹夜作業が必要な状況がある」ということを理解して,1日あたりの労働時間についてはあえて規制から外したものと思われます。)
 これまでも「三六協定にあまりきつい時間数は書かないでおこう。ブラック企業と思われたらイヤだし」と,控えめな時間数を書いている会社をよく見かけましたが,今後は「絶対に守れる時間数を書く」ことを徹底しましょう
 ここで遠慮orいい格好して控えめな時間を書くことは,法律違反のハードルをわざわざ上げるようなものです。
 ひどいのになると,「1日の残業時間:3時間」等と書いている三六協定を見かけますが・・・これはもう「書類送検されたいの?」というレベルです。

 今後,三六協定を破った残業については厳しい取り締まりが予想されるとを考えますと,この「1日あたりの残業時間」については実利を取りたいところです。

 なお,ここで誤解を招かないように一言・・・。
 谷田は断じて徹夜作業を推奨しているわけではありません徹夜作業なんて非効率ですし,従業員の健康を害するだけです。あらかじめ作業進捗を管理することで避けられるのなら,避けた方がいいのは言うまでもありません。
 また,これはクールな視点になってしまいますが・・・1日でも徹夜作業をさせてしまうと,後述する「月間45時間の上限」をクリアすることが一気に厳しくなりますので,こういった点からも避けるべきです。
 ただ,現実としてどうしても徹夜作業が要求される事態はあるので,その対応をご説明した次第です。

2,「延長することが出来る時間数」のうち「1ヶ月」「1年」は,法律上許容される上限を書く
 これも1と似たような理屈です。
「少しでもホワイト企業っぽく見せたい」「控えめな残業時間を届け出ておけば,労基署に目を付けられにくくなるのでは」と考えて,わざわざ「1ヶ月:40時間」等と書いて届け出ているのを見かけますが,こういうことは今後やめましょう。(そもそも,三六協定で控えめな残業時間を書いたら労基署に目をつけられないなんて,誰が言い出したのか・・・都市伝説もいいところです。)

 今回の法改正で設けられた「月間45時間」「年間360時間」の残業時間規制自体,宮崎県の中小企業にとってかなりきつい内容です。
 ここから更に遠慮して,少なめの時間を三六協定に書いても,法律違反の危険をあげるだけで何のメリットもありません
 ここは,「1ヶ月:45時間」「1年:360時間」一択です。(これでも守るのは大変だと思いますが。)

 今回の法改正で,「月間45時間」「年間360時間」の残業についてはある意味法律で明確に許容されたわけですから,ここで遠慮してハードルを上げる必要も無いでしょう。

(法改正後の三六協定対策について,次回に続きます。)


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