弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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働き方改革5~有給休暇付与義務・就業規則の改正~

2019年03月25日


2,有給管理の方法を就業規則に!
 前回解説したように,有給付与のルールが固まったら,今度はそれを就業規則に反映させないといけません。
 「休暇」は,就業規則の絶対的記載事項ですので,今回の法改正をふまえた追記が必要になります。

 ひとまず,本コラムの末尾に,働き方改革に対応した有給休暇の条項を,4種類アップロードしておきます。
 元々皆さんの会社で使われている就業規則には,有給休暇条項が入っているかと思いますが,その条項を差し替えるだけで使えるにしてあります。(赤字部分が、今回の法改正に直接関連する箇所です)

 これら4タイプの特徴や,向いている企業について軽く説明をしますと・・・

①個別型・・・有給休暇の切り上げは一切せず,従業員一人一人についてきちんと管理するタイプです。会社側の有給負担は最も少ない一方,個々の有給管理が大変ですので,従業員数が少ない事業者向けかと思われます。

②4月1日基準型・・・とにかく有給管理を簡単にしたい!という会社向けです。ただ,内容を読んで頂ければ分かるように,これでもかというくらい従業員に有給休暇を大盤振る舞いしますで,相当企業の体力・人員体制に余裕がないと厳しいです。(例えば,9月30日に入社した従業員は,翌日にいきなり10日の有給休暇がもらえ,しかもその半年後には更に11日もらえるわけです。さすがにホワイト企業過ぎます・・・)
 また,ここまでざっくりとした切り上げをすると,中途採用従業員同士で有給についての不公平感が生じる懸念もあります。
こういった特徴をふまえますと,②は専ら新卒一括採用をする大企業向けでしょう。
 なお,この「4月1日に基準日を統一するやり方」に限って,「5日間の有給付与義務」に関しややこしい事態が生じます。(有給の対象期間が1回目と2回目で重複するためです。)
これについては,以下の厚生労働省の解説が参考になります。

③4月1日・10月1日基準型・・・②よりも切り上げの度合いをマイルドにした感じです。どちらの基準日であれ,初回の有給取得のみ切り上げ(最大6ヶ月)が生じますが,②ほど不公平感はありません。
 ただ,基準日が2つ(4月1日・10月1日)に分かれますので,少しだけ管理の手間は増えます。
 宮崎県の中規模企業(従業員50人~100人)には,この③あたりが向いていると思われます。

④四半期基準型・・・③よりも更に切り上げの度合いを少なくし,①個別管理型に近づけたバージョンです。4タイプの入社時期いずれについても,切り上げ期間は3ヶ月以内にとどまっており,会社の負担感や従業員同士の不公平感は少ないかと思います。
 小規模企業(従業員11人~50人くらい)にお勧めかと思われます

 次回働き方改革6~有給休暇を付与する義務~では,有給休暇付与義務の最後の仕上げ・注意点について解説をします。

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