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マイナンバー制度7~取得する方法~

2015年09月04日

 前回マイナンバー制度6~聞き出してよい相手・その時期~では,マイナンバーを「聞き出したい相手」「取得する時期」についてご説明をしました。 今回は,一番重要で難しい「マイナンバーを取得する方法(取得するにあたって必要とされている手続)についてご説明します。

 マイナンバーを従業員等から聞き出すにあたっては,相手の本人確認をしないといけません。マイナンバーが必要になる行政上の手続はいくつもありますが,ひとまず最初の1回取得するときだけ本人確認をすれば大丈夫です。

 本人確認の方法ですが,「個人番号カード」を会社側担当者(総務担当者等)が確認させてもらえればOKです。もっとも,「個人番号カード」の発行を受けるかどうかはその個人の自由なので,従業員によっては個人番号カードを持っていないことがあり得ます。その場合は,「通知カード(10月に全国民に発送されます)」と「運転免許証や旅券等の本人確認書類(正確にはこの規則の1条1項1号)」の合わせ技で本人確認をすることになります。
 ちなみに,対面で本人確認をする場合は,これら本人確認書類の「原本」を見せてもらい,本人のマイナンバーに間違いないか確認しないといけません。写しを手渡しで提出してもらうだけではダメ,というわけです。(もちろん,原本を確認した上でコピーを取らせてもらうことはできますが,その場合は取ったコピーの扱いに注意を払いましょう。)
 他方,郵送で本人確認をする場合は,これら本人確認書類のコピーを送ってもらうだけでいいので,従業員数が多い企業様は郵送で本人確認手続を進めていった方がいいかも知れません。

 さて,ここで従業員に関連して気をつけないといけない問題があります。会社が役所に提出する書類の中には,従業員の被扶養者(配偶者や子ども)のマイナンバーを記載しないといけないものがいくつかあります。そのため,被扶養者のマイナンバーを取得する必要があります。
特に,国民年金第3号被保険者関係届を提出する場合(従業員の奥さんが,年収130万円以内に収まるよう働いている場合が典型例)は,配偶者の本人確認を会社の責任で行わないといけません。
 配偶者が本人確認書類をもって会社に来てくれればいいのですが,普通は難しいでしょう。
 ですので「従業員に,その配偶者の代理人を名乗ってもらう」「会社はその従業員について本人確認する」ことで,配偶者の本人確認をしたことにする,というやり方が一般的になると思われます。
 この配偶者の本人確認をするにあたっては,「委任状」「従業員本人の運転免許証等」「配偶者本人の個人番号が入った書類(個人番号カードや通知カード等)」の3点を提示してもらうことにになります。
 
 なお,「委任状」については,wordの書式を本コラム最後にアップロードしました。会社名を貴社名に修正の上,自由にご使用下さい。コメント欄に補充説明事項を入れています。(ダウンロードされた方は,こちらのサイトポリシーに同意なさったものとさせて頂きます。予めご了承願います。)

※(追記)平成27年9月3日付で個人情報保護法が改正されたことで,マイナンバー取得に際しての必要な手続が増えました。
 どういうことかと言いますと・・・これまでは個人情報を5000件以上保有している事業者にのみ個人情報保護法が適用されていました。そのため,個人情報をあまり保有していない事業者は個人情報保護法が適用されず,「個人情報を取得するときは,その利用目的を通知しないといけない(個人情報保護法18条)」という規制も受けなかったわけです。
 ですが,今回の法改正により,原則として全事業者に個人情報保護法が適用されるようになりました。マイナンバーも個人情報に含まれますので,マイナンバーを従業員等から取得するにあたっては,上述の本人確認手続だけでなく,「会社は,取得したマイナンバーをどういう目的で使うのか」をはっきりと周知する必要があります。
 この通知方法については,後ほど「従業員への周知方法」について解説する際に,書式と併せてご紹介します。