弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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リース契約にご用心!2

2017年08月28日

(前回「リース契約にご用心!1」の続きです。)
 
 ここで注意が必要なのは,「納品された物件が気に入らなかったと
しても,リース契約は解約できない」という点です。
 悪質な販売店ですと「ひとまず試しにうちの商品を入れてみて下さいよ。気に入らなかったら,リース契約を解約できますので。」といった嘘の説明を堂々として売りつけてようとしてくることがあります。
 ですが,リース契約は中途解約なんてできません。リース契約をしたら最後,リース期間中のリース料全額を契約者が負担しないといけないのです。
 「リース」という語感が,なんとなくレンタルっぽく聞こえて「賃貸借と同じで中途解約できそう」と勘違いする方も多いです。
 ですが,この点について誤解すると不本意な商品のために莫大な金を取られることになりますので,くれぐれもこの点については誤解をされないようお願いいたします。

 また,悪質な業者になりますと,そこから更に
「今使っている商品のバージョンアップ版が出ました。今のリース契約は中途解約できます(←もちろん嘘)ので,新しい商品のリースに切り替えませんか?」
と言ってきて,契約者にとって何のメリットもないバージョンアップを勧めてくることがあります。
 元のリース契約を中途解約できる等と言ってきますが,何のこともありません。その悪質業者が残リース料をリース会社に繰り上げ返済して,その返済分を新しいリース料金に上乗せするだけのことです。(一般に「次々リース」「レベルアップ」と言われます。)
 このレベルアップを繰り返すと,リース料総額はものすごい勢いでふくれあがっていきます。最終的に総額450万円の電話機リースを組まされた零細事業者もいました。(この事業者にとって全く必要のない高機能がいっぱい付いた電話機です。というか,クラウンが買える値段です・・・。)

 リース契約の大半は,利用者にとって便利なものです。また,リース契約を提案する販売店の大半もきちんとしたところです。
 ただ,「商品代金が一括で入ってくる」「月額表示リース料は安く感じるため,契約をさせやすい」といったことから,悪質販売店に悪用されるケースも多いのです。
 リース料支払総額や,リース対象物件をきちんと理解した上でリース契約をするのならともかく,販売店の方から営業でやってきてリース契約を勧めてきたときは,ひとまず身構えた方がいいでしょう

2,架空リースを頼んでくる
 1は,商品を納品する意思がある分まだマシな方です。
 経営に窮した販売店の中には,
毎月のリース料はうちが払うから,コピー機のリース契約を結んでくれないか。あなたが負担するのはカウンター料金だけだよ。」
とか,
「コピー機は届けないよ。ちなみに,コピー機が届いたかどうかリース会社から確認の電話がかかってくると思うけど,とりあえず『はい』と答えておいてよ。リース料はもちろんうちで払うし,迷惑はかけないから。」
等と頼んでくることがあります。
 いわば,架空リースです。(後者は,応じた契約者も詐欺の片棒を担ぐことになります。)

 谷田が以前取り扱った事件の中には,一つの町全
体(町役場含む)が架空リースに巻き込まれたというものがありました。そのときは,合計70社・延べ130口の架空リース契約の対応を受任することになりました。町全体が疑心暗鬼になっていたのが印象的でした・・・。
(続きます。)