弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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中小企業のための新個人情報保護法4

2017年07月03日

(前回「中小企業のための個人情報保護法3」の続きです)

2,個人情報を第三者へ提供できるのはどういうときか

 個人情報は,外部提供しないのが一番です。
 とはいえ,諸事情により外部へ提供しないといけない場面もやはり
出てくるものです。どういう場合に,個人情報を外部へ提供できるのかは,一通り知っておきましょう。

(1) 本人の同意がある場合
 一番分かりやすいのは,これでしょう。本人の了解があれば個人情
報を外部に提供することもできます。
 最初に個人情報を取得する時点(例:
入会申込書を書いてもらう時)で,既に外部に提供する予定があるのなら,入会申込書に同意文言を入れておくのも有効です。
 例えば,「本申込書に記載された個人情報は,~~という場合に,
??に対して提供することがある旨説明を受け,同意しました。」
といった言葉を,申込書の雛形に明記しておくわけです。
 これで,後日外部に個人情報を提供する必要が生じても,
本人の同意が得られたことになります。
 とはいっても,この同意文言があまりに広汎で不公平な場合,
取引相手から反発を招いてしまい,場合によっては炎上騒ぎになる恐れもあります。そのため,本当に必要な範囲に絞って同意文言を設定したいところです。

(2) 個人情報保護法23条1項に書かれている場合

 ・・・と書くと分かりづらくなるのですが,要するに「他の法律の中にちゃんと規定がある場合(1号)」「緊急性がある場合(2・3号)」「公的機関の仕事に協力するため必要な場合(4号)」であれば,本人の同意なしに個人情報を出していいですよ,ということです。

 最近谷田が接したケースの中で,「これは注意した方がいいな」と感じたものとして,「公的機関の仕事に協力するため必要な場合(4号)」があります。
 警察が,裁判所の令状を取らずに任意に情報提供を求めてくることがあります。これ自体は,「公的機関の仕事に協力するため必要な場合(4号)」にあたりますので,個人情報を提供すること自体は問題ありません。
 ですが,最近宮崎で,警察が手間を省くためなのか,電話でいきなり個人情報を聞いてきた例がでありました。
 電話をかけてきているのが本当に事件担当の捜査官なのかどうかは,こちらからは分かりません。仮に,担当捜査官でもない人に個人情報を漏らしてしまったとなれば,問題になってしまいます。
 こういう場合は,「Faxでも郵便でもいいので,捜査機関として照会文を送って下さい。電話では回答できません。」「照会文を送って下されば協力します。」と回答しましょう。
 たまに「急いでいるんだ」とか「それくらい良いじゃないか。自分は本物の刑事だよ?」と言ってくる捜査官がいますが,仮に個人情報漏洩で問題になった場合に警察は責任を取ってくれませんので,ここは毅然とした対応をしたいところです。

 ちなみに,破産管財人からの問い合わせも,「公的機関の仕事に協力するため必要な場合(4号)」に当たります。
 ですので,破産管財人からの文書による照会に回答しても問題はありませんので,なるべく協力してあげて下さいね。(だいぶ谷田の都合・要望も入っていますが・・・)
(続きます)