弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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中小企業のための新個人情報保護法2

2017年06月05日

 今回は,新個人情報保護法のうち,新しく追加された規制内容について解説します。
 前回お話ししたとおり,追加された規制内容については軽く流して頂い
ていいのですが,一応改正点を列挙すると以下のようになります。

1 要配慮個人情報の新設
・人種(単なる「国籍」は含まれません)
・信条
・社会的身分(単なる「職業」や「学歴」は含まれません。)
・病歴
・犯罪歴
・犯罪被害歴
 こういったデリケートな情報については,他の個人情報(氏名や生
年月日)よりも慎重な取扱いが求められるようになりました。
 普通の個人情報であれば,取得するときにいちいち相手の同意をも
らわなくていいのですが,これらの要配慮個人情報については相手の同意をもらわないといけません
 これらの情報を個人から取得する会社というのはほとんどないでし
ょうが(前回書いたとおり,病院くらいでしょう),もしこれらに引っかかりそうな情報を記録する際は「本当に大丈夫かな?」と立ち止まって確認しましょう。
 いずれにしても,必要の無い情報は最初から受け取らないのが一番
です。

2 匿名加工情報の新設
「30代の男性が,平成29年5月22日に,宮崎駅から電車に乗
って延岡駅まで行った」
「40代の女性が,宮崎市内のファミレスで,ハンバーグランチを
食べた」
というような,個人を特定することまではできない情報を「匿名加
工情報」といいます。こういった抽象化したデータを匿名加工情報といいます。
 匿名加工情報を大量に集積して,マーケティングに役立てる手法(
いわゆる「ビッグデータ」)が近年特に盛んですが,これを適切に規制をするべく,今回の改正に盛り込まれました。

 こういった匿名加工情報のデータベースを事業に用いる事業者を匿
名加工情報取扱事業者といい,改正法で様々な規制が課せられています。とはいえ,大部分の事業者にはあまり関係のない規制と言っていいでしょう。

(3) 他にも色々と改正点はあるのですが,主なものは以上の2点です。
「ふーん。そういう改正があったのか」くらいの受け止め方でいい
かと思います。

 次回以降,複数回かけて「全ての中小企業に関連してくる,従来からの規制」について対応策も兼ねて解説します。コンプライアンス・クレーマー対策いずれの点からも重要ですので,是非お付き合い下さい。