弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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中小企業の労務管理 ~雇用しないのが最大の予防1~

2017年02月27日

 中小企業の労務管理で一番炎上しやすいのが「解雇を巡るトラブル」です。残業代の未払と並んで,労使紛争の花形(?)と言ってもいいでしょう。
 今回は,この解雇を巡るトラブルについて,予防策・対応策を解説していきます。
 「中小企業の労務管理 ~よくある問題点4~」の後半と,「中小企業の労務管理 ~よくある問題点5~」に対応する解説になります。

 さて,解雇を巡るトラブルについて,「雇用しないのが最大の予防」というタイトルを掲げました。
 とはいっても,従業員を一切雇うなというわけではありません。(そんなことを言い出したら,企業の発展は一切見込めませんね。)
 トラブルになりそうな従業員や,資質に欠ける従業員は採用段階ではねる,ということです。
 「何も食べなければ虫歯にならないよ」と言っているようなもので,当たり前のことなのですが・・・中小企業こそ,この「採用時点での絞り込み」を意識して頂きたいと思います。

 求人や採用に当たっては,雇用対策法や雇用機会均等法による制約があります。ですが,逆に言えば,こういった法令上の規制に反しない限り,会社には採用の自由があります
 「この人は,うちの業務に向かないな」と思ったら不採用にしていいのです。そして,不採用の理由を開示する義務もありません

 後で詳しく解説しますが,裁判所は,一旦雇った従業員の解雇についてはなかなか認めてくれません。
 ですが,その裏返しとして,「採用するかどうか」についてはとても寛容です。(思想・信条を理由に不採用にしてもOK,と最高裁が言い切るほどです。)
 「解雇するくらいなら,最初から雇わない」ということは,裁判所自体が推奨しているといっていいでしょう。

 ですが,こういった裁判所の傾向はあまり知られておらず,「とりあえず採用して,ダメだったら解雇すればいいや」という会社が後を絶ちません。採用・不採用は,会社を労使紛争から守る最初にして最後の砦ですので,採用時にくれぐれも慎重な人選をして頂きたいと思います。

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