弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

blog

中小企業の労務管理 ~就業規則1~

2016年11月07日

 前回は,中小企業が雇用契約書を取り交わす際の注意点について解説しました。
 今回は,「中小企業の就業規則にまつわる注意点」について解説します。ちょうど,「中小企業の労務管理 ~よくある問題点2~」に対応する解説になります。

 就業規則の注意点となると,それだけで分厚い本が一冊できてしまうテーマですので,ここでは概要や,特に注意したい点に絞って解説します。

1,どこかで拾ってきた就業規則のひな形をそのまま使わない
 上記「よくある問題点2」で指摘したことと重複しますが,拾ってきた就業規則のひな形を中身も確認せずに使うのは絶対やめましょう

 就業規則の内容は,企業の業務のあり方・体力に応じて決められるべきものです。一般に出回っている就業規則のひな形は,大企業向けのものが多い(というか,ほとんど)ですが,その内容を中小企業が丸呑みしてしまったらとても経営は立ちゆきません。
 特に,「私傷病休職」「賃金体系(昇給・賞与・退職金)」については,その会社の規模・置かれている状況・業務内容等を元に個別に検討しないと,「就業規則に会社がつぶされる」という状況に陥りかねません。

 一旦就業規則を定めてしまうと,労働者側に不利な変更は困難です(不利益変更禁止の原則,労働契約法9条)。そのため,最初に就業規則を立ち上げるときこそ,その内容には十分な注意を払いたいものです。

2,パートタイマー用就業規則を分けて作る
 正社員向けの就業規則は,既に多くの会社が整備していることかと思います。ですが,それとは別にパートタイマー用就業規則を整備している会社はそう多くありません。

 
パートタイマーへの適用除外を明記していない就業規則(内容は正社員向け)だけを備え付けている会社では,その就業規則の規定がパートタイマーについても適用されかねません。その場合の会社側の経済的負担(例:退職金や各種手当)・人事上の不都合(例:有給休暇の付与時間)が大きくなることは明白です。
 また,パートタイマーへの適用除外を明記していても,肝心のパートタイマー用就業規則を備え付けていないのであれば,就業規則作成義務違反(労働基準法89条)になってしまいます。
 地方の中小企業はパートタイマーを初めとする非正規社員への依存度が高いという事情も考えますと,パートタイマー向け就業規則は意識して整備したいところです。


<顧問契約のお勧め>
 顧問契約を締結して頂くことで,就業規則について継続的なサポートを受けられるようになります。
当事務所の顧問契約の詳細はこちら
http://www.tanida-lawyer.jp/advisory-contract.php