弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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中小企業の労務管理 ~よくある問題点5~

2016年10月10日

(前回「中小企業の労務管理 ~よくある問題点4~」の続きです。)

7,簡単に従業員を解雇する(の続き) 
 当事務所は,「トラブルの事前予防」を重視していますが,
特にこの「従業員との雇用契約の解消」は事前の予防・検討がものをいうテーマです。
 経営者の皆さんは「解雇した従業員が裁判を起こしてきたんだけど,どうしたらいい?」といった感じで,解雇してトラブルになった後で初めて弁護士に相談に来られることがほとんどなのですが,その段階で初めて弁護士に相談をされても,打てる手はかなり限られてしまいます

 「本当に困った従業員がいて,会社業務に支障が出ている・・・なんとかできないだろうか?」とお悩みの会社は,見切り発車で解雇してしまう前に,弁護士にご相談頂いた方がいいでしょう。
 会社が従業員を解雇する際の注意点・事前の予防策等については,後日特に分量を割いて解説しますので,お付き合い頂ければと思います。


8,試用期間中であることを理由に気軽に不採用にする
 「7,簡単に従業員を解雇する」の一類型ともいえるのですが,特に誤解が多いテーマなので独立した項を立てます。誤解が多いのは,「試用」という言葉の印象によるものと思われます。

 正社員として雇用する際,「仕事をさせてみて,パッとしないようなら不採用にできるよう,試用期間を設けておこう」と考え,雇用契約書に試用期間を定める会社は多いかと思います。ですが,試用期間中の不採用も,解雇の一種なのです。正社員よりは解雇がしやすいものの,依然としてそのハードルは低くありません

 試用期間は,あくまで採用時点では分からなかった従業員の不適性が見つかった場合に,やむなく雇用契約を解消するための仕組みです。
 決して「その従業員の能力を測るためのお試し期間」ではありません。そういった職務適性の確認は,採用前に面接や課題等を通じてすませておかないといけません。
 この「試用期間の位置づけ」については,採用活動・採用基準にも影響を与えますので,会社全体で認識を共通にしておきましょう。採用担当者が試用期間についてよく分かっていない会社では「試用期間を設けておけば,パッとしない人でも後で不採用にできるだろう」と考え,安易に適性のない応募者を採用してしまうトラブルが起こります。

 また,試用期間中に不採用(=解雇)とすることは,「その従業員の仕事ぶりを実際に見た上で,やっぱりこの人はダメだ,という烙印を押す」ことに他なりません。このような不採用(=解雇)は,従業員にとっては資質・能力そのものを否定されるに等しく,プライドを著しく傷つけます。
 そういったこともあり,試用期間中の不採用(=解雇)は,会社側が思っている以上にトラブルへと発展しやすいものです。試用期間を「単なるお試し期間」とお考えの社長は,以上のリスクをご理解頂きたいと思います。

 次回以降では,これら「中小企業の労務管理によく見られる問題点」の解決策・予防策について順番に解説していきます。