弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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マイナンバー制度8~マイナンバーの提供を拒否されたら?~

2015年09月08日

 前回「マイナンバー制度7~取得する方法~」では,従業員等からマイナンバーを教えてもらうときの手続(本人確認等)を中心にご説明しました。
 今回は,マイナンバーの提供を従業員等が拒否した場合,どういった対応が考えられるのかについてご説明しようと思います。
 マイナンバーに絡みのトラブルに関しては,(当然ながら)今のところ裁判例があるわけでもありませんし,行政側の指南に従っておくのが無難です。そこで,内閣官房のFAQにあたってみたところ,
該当する箇所がありました(詳細はリンク先)。
 要するに,「まずはマイナンバーの開示を渋る人を一生懸命説得して下さい。どうしてもダメなら,提出先の言うとおりにして下さい。」ということのようです。

 そこで,現時点で主な提出先となる国税庁と厚生労働省(のハローワーク)の指示を見ると,だいたい次のようなことが書かれていました。

国税庁:「マイナンバーを出し渋る人を一生懸命説得して下さい。どうしてもダメなら,
提供を求めた経過等を記録、保存するなどし,単なる義務違反でないことを明確にしておいてください(その上で,個人番号欄を空白の状態で提出して下さい)。」
ハローワーク:「
マイナンバーを出し渋る人を一生懸命説得して下さい。どうしてもダメなら,個人番号欄を空白の状態で提出して下さい。」

とまあ,ハローワークはともかく,国税庁は結構うるさいようです。
「マイナンバーを聞き出せませんでした。すみません」では許されず,「ちゃんと説得したことが分かるように,説得の経過を残しておけ」というわけですね。
 ですので,マイナンバー提供拒否者が出た場合に備えて,提出要請の経過記録はある程度定型化した書式を作っておいた方がいいでしょう。この点,どういった書式・記録事項が良いかについてはまだ明確な基準があるわけではありませんが,提供拒否者ごとに時系列で経過を記録しておけば後々説明しやすいと思われます。(あくまで一例です。ご参考までに)

<従業員・舞奈伊八代>
・平成??年??月??日 予め通知してあったマイナンバーの提供期限を過ぎても本人確認書類の持参がなかったため,社内の掲示板に「未提供者は速やかに総務課へ本人確認書類を持参の上,本人確認を受けて下さい。」との貼り紙をすることで催促した。

・平成??年??月??日 掲示板での告知後1週間を経過してもマイナンバーの提供に応じないため,本人に直接メールで本人確認書類の持参を促した。

・平成??年??月??日 メール送信後1週間を経過しても本人確認書類を持参しないため,本人に直接口頭で催促したところ「マイナンバーを会社に教えたくない」との回答をしてきたので,その旨の回答書を提出させた。

といった感じでしょうか。複数回にわたってマイナンバー提供を催促し「催促の時期」「催促の方法」「催促に対する反応・回答内容」について記録化しておけば,ひとまずやるだけのことはやったと言えそうです。
 なお,最後の「マイナンバー提供拒否の書面」は,書式として用意しておけば手間が省けるかと思いますので,書式例を後にアップロードしておきます。使わずに済むのが一番ですが,マイナンバーの開示を徹底拒否された場合にご利用ください。
 「マイナンバーは提供しない。でも,回答拒否の書面も出さない」という従業員(ここまで頑なな従業員はほとんどいないと思いますが・・・)がいた場合は,上のような時系列記録の最後に「回答拒否の書面の提出すら拒否してきた」と記載しておけばいいでしょう。

 さて,このコラムをお読みの方の中には「マイナンバーの提出を求められる側である従業員の方」もいらっしゃるかと思いますが,マイナンバーの提出を拒否すると総務課の方が上記のような負担を被ることになり,結構気の毒です。また,(これは総務課の方の苦労の裏返しなのですが)提出を拒否すると何度も提出を催促されてしまうことになり,結構ストレスが溜まるかと思います。
 勤務先会社にとっては,法律上義務付けられた手続を踏んでいるだけなので,よほど譲れない信念をお持ちでない限りはマイナンバーの提供には応じてあげて下さいね。

 次回は,就業規則をマイナンバー制度に対応させるにあたっての注意点について解説いたします。結構大事な記載を落としている改定就業規則案を見かけることがありますので,くれぐれもご注意頂きたいところです。

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